先日、桧枝岐の平野和利さんから、手彫りのこね鉢を仕入れてきました。
とても美しく貴重な逸品ですのでご紹介いたします。
 

桧枝岐産　手彫りこね鉢

桧枝岐村は、福島県の西南端に位置し、東北最高峰の燧ケ岳や会津駒ケ岳など
2,000m級の山々に囲まれた小さな村です。
そんな桧枝岐村では、古くから積雪期の仕事として、
メッツと呼ばれる曲げわや杓子・ヘラ、そしてはんぞうと呼ばれるこね鉢づくりなどの木工業がおこなわれ、
作ったものを他の村などで売り現金収入を得ていました。
 
しかし、時代の流れとともに、桧枝岐村では観光業が主産業となり、
木工業に従事する人もほとんどいなくなってしまいました。

平野和利さんもこね鉢づくりの最後の職人です。
平野さんは30年程前にこね鉢づくりをはじめ、こね鉢一筋で製作してきましたが、
数年前にご高齢のため引退。今、桧枝岐にはこね鉢を作れる人はいません。

 

栃の木がこね鉢になるまで

そもそもこね鉢はどうやって作られるのでしょうか。
 
まずは素材である栃の木。
こねばちは木の導管に対して平行に木取りします。
そのため、こね鉢の直径よりも太い栃の木を原料にしていて、
こね鉢の直径が大きくなれば大きくなるほど、樹齢が高く太い栃の木が必要になります。
現在、樹齢の高い栃の木は年々手にいれるのが難しくなっていて、
材料の面でも、こね鉢はかなり貴重になっています。

そんな貴重な栃の木は、こね鉢の長さに切られ、
中をくりぬくための目印の円を書き入れます。
その円に合わせて、チェーンソーで木目に対して垂直に切れ目を入れ、
木のハンマーで叩き割るようにして真ん中をくりぬきます。
職人の平野さんはなんでもないようにやってしまいますが、
チェーンソーの刃を入れる深さで底のカーブが決まり、
刃を入れすぎると穴が開いてしまったりする、繊細な作業です。

中が大体くりぬき終わったら、外側の余分な部分を叩いて割り、そぎ落としていきます。
その後、ある程度丸くした後、銑（セン）と呼ばれる取っ手が両側について刃物で削り整えていきます。
外側が削り終わったあとは、くりぬいた部分をモッタと呼ばれる刃物で削って完成です。
 
出来上がったこね鉢は、刃物のあとがとても美しく、
実用品としての凛とした雰囲気を感じられる佇まいです。

 

プロから見た手彫りこね鉢

手で彫られたこね鉢は、見た目の美しさももちろんですが、機能としても優れています。
桧枝岐や南会津町の湯ノ花地区では、伝統料理として「裁ちそば」があり、
そばを湯捏ねする際にこね鉢が使われてきました。

そば打ち体験やそば畑のオーナー制度などのユニークな取り込みをしている、
南会津町湯ノ花地区の民宿「山楽」の大山さんもこね鉢の愛用者の一人です。
大山さんのお話によると、手彫りのこね鉢と機械でくりぬいたこね鉢では、
こねやすさが全然違うとのこと。
その理由はこね鉢の内側の角度。

左が機械でくりぬいたこね鉢、右が手彫りのこね鉢です。
機械でくりぬいたこね鉢は、こね鉢の側面と底面が直角に近い角度で作られているため、
こねる力を下方向から横方向へ切り替える必要があります。
また、こねる際に下方向に力を入れるのは難しく、力がうまく伝わりません。
対して、手彫りのこね鉢は中心に向かって斜め下方向へ、なだらかに彫られています。
そのため、手彫りのこね鉢は力を入れる方向を切り替える必要がなく、力も入れやすいのです。


 

サイズと価格

今回仕入れたこね鉢は、形も価格も様々です。

※表左側が管理ナンバー、右側がこね鉢全体の高さと深さ・状態になります。

尺2（こね鉢の外側の直径が約36cm）

管理No.27	高さ123mm、深さ87mm　25,000円
管理No.28	高さ114mm、深さ89mm　25,000円
管理No.29	高さ110mm、深さ80mm　25,000円
管理No.30	高さ112mm、深さ88mm　22,000円　節あり
管理No.31	高さ106mm、深さ79mm　24,000円　ゆがみあり
管理No.32	高さ105mm、深さ79mm　20,000円
管理No.33	高さ108mm、深さ80mm　25,000円

尺3（こね鉢の外側の直径が約39cm）

管理No.20	高さ120mm、深さ102mm　25,000円　節
管理No.21	高さ105mm、深さ84mm　30,000円
管理No.22	高さ112mm、深さ95mm　18,000円
管理No.23	高さ117mm、深さ92mm　30,000円
管理No.24	高さ118mｍ、深さ97mm　26,000円　埋め木あり
管理No.25	高さ112mm、深さ88mm　30,000円
管理No.26	高さ119mm、深さ92mm　30,000円

尺4（こね鉢の外側の直径が約42cm）

管理No.18	高さ130mm、深さ96mm　28,000円　ユーズド

尺5（こね鉢の外側の直径が約45cm）

管理No.10	高さ137mm、深さ105mm　40,000円
管理No.11	高さ140mm、深さ110mm　39,000円
管理No.12	高さ138mm、深さ114mm　38,000円
管理No.13	高さ140mm、深さ110mm　38,000円　シミ、入り皮あり
管理No.14	高さ135mm、深さ107mm　38,000円　へこみあり
管理No.15	高さ135mm、深さ103mm　40,000円
管理No.16	高さ145mm、深さ120mm　40,000円

尺6（こね鉢の外側の直径が約48cm）

管理No.6	高さ148mm、深さ116mm　41,000円　テッポウ虫　埋め木
管理No.7	高さ138mm、深さ110mm　45,000円
管理No.8	高さ143mm、深さ112mm　45,000円
管理No.9	高さ143mm、深さ118mm　45,000円

尺7（こね鉢の外側の直径が約51cm）

管理No.5	高さ150mm、深さ119

特殊サイズ

管理No.3	2尺9寸　高さ255mm、深さ220mm　453,000円
管理No.4	2尺9寸　高さ265mm、深さ240mm　462,000円
管理No.2	3寸　高さ240mm、深さ210mm　478,000円
管理No.1	3尺3寸　高さ310mm、深さ270mm　541,000円

特殊樹種

管理No.35	クリ　尺3　高さ118mm、深さ93mm　30,000円
管理No.19	クリ　尺4　高さ115mm、深さ94mm　35,000円
管理No.17	サワグルミ　尺5　高さ150mm、深さ111m　35,000円　ピンホールあり
管理No.34	キハダ　尺5　高さ146mm、深さ115mm　50,000円

気になるこね鉢がございましたら、
表左側の管理ナンバーを添えてお問合せいただければ、写真をお送りいたします。

お気軽にご連絡ください。

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